7.調理する
marcy
第2部「化学性」の最後に、
調理をみておきます。
ソラニンは、普通の加熱調理では
分解されません。
実験的には170℃以上で
分解をはじめるそうなんですが、
それをしたからといって
毒の量を減らることは期待できない、と
記載されていました。
細菌やウイルスによる食中毒の場合は
加熱によって予防できるものが多いですが、
じゃがいもの場合は
加熱による予防は無効だよ、
というのがベターです。
対して、
水には溶ける性質があります。
pino
へぇ~!
marcy
長時間茹でると、ソラニンがゆで汁に
一部溶け出すということはある。
ただし溶け出す量はランダムなので、
確実ではないです。
データであったのは、
「5~65%の低減率」とかなので
わからないじゃんという(笑)
pino
そっかぁ(笑)
marcy
なので、
「水に溶けるから茹でたら大丈夫」
とも言えない。
よってこれらを踏まえると、
家で料理するときは、
「皮を剥く」「芽の周辺部を取り除く」などが
いちばん確実な方法になります。
これによって、30~70%は減らすことができる。
tomo
なるほど。
marcy
じゃがいもをどう調理するかよりも、
「まず除く」が
ソラニン中毒に関する対策です。
以上、ソラニンの化学的な視点と、
身近な、買う・食べる・料理するといった
部分のお話でした。
tomo
勉強になりますね~(笑)
実生活に役だちます。
pino
食べ物の話は、
それがおもしろいですよね。
*参考文献を基にしておりますが、厳密な考証は行っておりません。あくまで「趣味のおしゃべり」として、楽しんでいただけると幸いです。
参考文献
ジャガイモのきた道/山本紀夫/岩波新書/2008
ジャガイモの世界史/伊藤章冶/中公新書/2008
ジャガイモの歴史/アンドルー・F・スミス/原書房/2014
へんな毒 すごい毒/田中真知/ちくま文庫/2016
世界史を大きく動かした植物/稲垣栄洋/PHP/2018
海が運んだジャガイモの歴史/田口一夫/梓書房/2016
食中毒統計資料令和4~元年/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html
食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報/農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/
有毒植物による食中毒に注意しましょう/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yuudoku/index.html