第4話 炭素・水素・酸素
メンバー
おさらい。
pino
前回のおさらいからお願いします!
marcy
はい、では「必須元素」から見ておきます。
アーノンという人が提案した原理によると、
3つの特徴があるそうです。
1つめが、必要性。その元素が欠けると
植物の育生が完全に行われない。
2つめが、非代替性。欠乏症は
その元素の添加のみで回復する。
他のじゃカバーできないってことだね。
pino
うんうん。
marcy
3つめが直接性。
その元素は植物の栄養で直接的な役割を果たし、
外部環境の改善などの間接的なものではない。
環境を変えて作物に関与するんじゃなく、
直接関わるということだね。
pino
なるほど、ダイレクトにね。
marcy
そうそう。こういう3つの特徴があるのが
必須元素で、カンタンに言うと、
「作物が生まれて、育って、繁殖するという
サイクルを行うために、欠かせない元素」のこと。
pino
はい!
marcy
これが全部で17種類ありました。
また、必要な量によって、
多量元素9種類と
微量元素8種類に分かれていました。
pino
はい。
marcy
ちなみに、この17種類というのは、
少し前まで16種類しかなく、
比較的最近、微量元素のニッケルが加わったそう。
pino
ふーん。
marcy
だから、今後研究が進んでいくと、
実はこれも必須元素でした
というのが現れるかもしれない。
pino
なるほど、ね。
marcy
そして今回は、
9種類ある多量元素の中の、
炭素・水素・酸素。C・H・Oの
3つについて見ておきます。
pino
はい!
必須元素の中の多量元素ね。
その中の3つ。たんさんすい(炭・酸・水)。
marcy
そうそう(笑)
特徴その1
marcy
この3つは、共通する大きな特徴があって、
その1つが「作物体内のあらゆる物質の
材料になっている」ということ。
pino
なるほど。
marcy
例えば、作物は光合成をするよね。
この光合成で何を作っていたかというと?
pino
…(笑)
marcy
植物は何のために光合成をする?
太陽のエネルギーを使って、
水と二酸化炭素から…
pino
酸素と糖!
marcy
はい!糖を作ります(笑)
この糖はグルコース(ブドウ糖)
と呼ばれるものだね。
そしてこれを元素的な視点でみると、
「C₆H₁₂O₆」というカタチになっている。
marcy
つまりCHOは、植物が行う基本的な
代謝で作られる糖の直接の材料になっている。
ここからも、基本的な元素とイメージできる。
pino
なるほどー。
marcy
作物は、グルコースを作ったら、
これを材料にして、また違うものを作るんだけど、
どんなものがあると思う?
例えば、いも類を思い浮かべるとわかるんだけど。
pino
でんぷん。
marcy
そうそう。でんぷんって、
グルコースがたくさんつながった
形をしている。だから材料で見れば
これも炭素・水素・酸素だね。
pino
あぁ。
グルコースとでんぷんって同じ単位の名前?
marcy
えっと、グルコースは単糖類。糖の最小単位。
でんぷんは多糖類。
単糖類がたくさんつながったもの。
また、このでんぷんの種類の中に
「アミロース」「アミロペクチン」がある
という理解。
pino
うんうん。
marcy
もうひとつ、
植物には細胞壁がったよね。
この細胞壁の材料になっている物質と言えば…
pino
セルロース!
marcy
そう、そしてセルロースも多糖類なんだけど、
なにが材料だったかというと…
pino
糖、グルコース。
marcy
そうそう。セルロースも、でんぷんと同じで、
グルコースがたくさんつながったもの。
ただ結合の方法が違うだけ。
元素視点の材料でみたら、同じだね。
pino
なるほどね。
marcy
さらに、たんぱく質の材料になるアミノ酸。
アミノ酸も、構造で見るとこんな感じに
なっている。
marcy
真ん中に炭素があって、
そこに水素、アミノ基、カルボキシ基などが
くっついている。
これもだいたい炭素・水素・酸素だね。
pino
大活躍。
marcy
あと、植物がもっている酵素とか、
生長の時に使うホルモンとかも、
材料はたんぱく質だから、
そのもとはアミノ酸であり、CHOの3つだね。
pino
なるほど~。
marcy
最後、糖・たんぱく質ときたら次にくるのが…
pino
脂質。
marcy
そうそう。
脂質も代表的な「グリセロール」の
構造を見ると、こんな感じ。
marcy
脂質の骨格も、ベースはCHO。
こんな感じで、糖、たんぱく質、脂質
どれを見ても、重要な材料になっているから、
炭素・水素・酸素の3つの元素は、
「作物体内のあらゆる物質の材料になっている」と
わかるかな、と思います。
pino
はい!
特徴その2
marcy
では2つめの特徴。
これは、「人が作物を育てるときの肥料目線」で
登場する話で、「不足することがないので、
わざわざ肥料として与えなくていい」というもの。
pino
はい。
marcy
ここでひとつ疑問なのは、
CHOはいろいろな材料になっていたよね。
たくさん必要なのに、なぜ不足しないのか。
肥料として与えなくていいのか。
pino
なるほど。
これは大気にたくさんあるから?
marcy
そう!大気と?
pino
水。
marcy
うん。大気に含まれる酸素はO₂、
二酸化炭素はCO₂、雨で降ってくる水はH₂O。
という感じで、空気中にあるのと、
雨が降ることで供給される。
で、肥料の話で不足するというのは、
「同じ畑で、肥料などを与えずに、
作物を連続で育てて収穫すると、
土の中の養分が持ち出されて減っていく」
という前提があるから。
だけど空気が減ることはなく、
自然に供給できる、というイメージ。
でもこれで言うと、
空気中にも窒素(N)はあるよね。
でも窒素は不足するので、
肥料として必要な元素になっている。
これがなんでかと言うと、
「植物が空気中から窒素を
直接取り入れることができない」から。
pino
あぁ。光合成とかみたいにね。
marcy
そう。対してCHOの3つは、
「光合成」や「呼吸」によって、
酸素・二酸化炭素・水として作ったり
出したりできる元素だから、補充できるし、
使える。
窒素はこの代謝の中に入っていないから、
空気中からは取れない、という理解。
pino
なるほど。
marcy
だから、「たくさんまわりにあること」と
「普段の代謝で扱えること」が合わさって、
「不足することがない」ということだね。
pino
うん。
marcy
ちなみに、「水不足」が起こると、
もちろん作物は枯れるけど、
これは水不足であって、
水素不足ではない、という理解のよう。
pino
枯れそうなときに
水素肥料は与えないものね(笑)
水素肥料ってあるのかな。
marcy
一般的な作物栽培以外のところでは、
あったりしそうだけどな。
試験問題では、
「空気中や水から供給されるので、
肥料として与える必要のない必須元素はどれか?」
が出ていたので、この3つの把握は必要かな。
pino
試験に出てるんやねぇ。
marcy
ここは出てたね。例えば選択肢に
「窒素」とかがあれば要注意だね。
pino
空気中にあるけど、吸収できないから、
肥料としては必要、という理解だね。
おまけトーク
ま
ちょっと思ったんだけど、
炭素・酸素・水素は、
環境にたくさんあるから不足しない。
言い換えると。まわりにたくさんあるから、
それを材料として使うようになった、
とも考えられるよね。
ぴ
それで言ったらさ、
いつか窒素(N)も
使い出すようになるんじゃない。
ま
あぁ、あるんじゃない(笑)
むしろなんで空気中の窒素を利用しないのか、
チャットGPTに聞いたの。
ぴ
聞いたんだ(笑)
ま
うん。もちろん、ちゃんとした
理由はわからなかったけれど、
土壌にあるから、そちらを吸収する方が
低エネルギーでコスパがいい、
みたいな回答だった。
たしかに、それはあるなと。
ぴ
なるほど。
じゃぁ土の中の窒素がなくなったら、
大気から取り込もうっていう進化を遂げるかもね。
ま
可能性はあるのかな(笑)
土の中の窒素がなくなるって、
現在の生態系が崩壊してるから、
全部いったんリセットされている感じだけど(笑)
ぴ
じゃぁ地球がリセットされて(笑)。
ま
その可能性はあるんじゃない?
それこそ、今僕らがイメージする作物って、
ほとんどが被子植物だよね。
これ、植物界隈で考えると新人組で。
ぴ
ふーん。
ま
これよりも前は裸子植物があって、
この後に進化して出てきたものが被子植物。
だから、裸子植物時代から考えると、
今の作物は考えられない存在かもね。
ぴ
裸子植物って、マツとかイチョウだよね。
ま
うん。だからそういう意味では、
今後とんでもない進化がないとは言えないよね。
ぴ
たしかにね。楽しみだなぁ(笑)
ま
人はちょっと体感できないと思うけど(笑)