第2話 土の種類

メンバー

marcy
pino

環境によってできるものが違う

marcy

 前回のこと覚えてる?

pino

 なんやった…?(笑)

marcy

 土壌のでき方でしたね。(笑)

pino

 そうでした…!

marcy

 前回見た通り、土壌は岩石が風化して、
 そこに動植物の遺体が積み重なって
 できていました。

marcy

 そしてこれらは、
 母岩の種類・地形・気候・植生などの
 影響を受けます。

 つまり、どんな環境でできるかによって、
 土壌には種類が生まれます。
 今回はこの種類について見ていきます。

pino

 細かく?

marcy

 そうだね、とりあえずは、
 試験で出題される範囲で。

pino

 なるほど。


分類方法

marcy

 まず土壌の分類を世界視点でみると、
 アメリカ農務省が体系をつくっていて。
 そこでは12種類に分けている。

pino

 12種類。

marcy

 うん。それがこの分類。

引用/家族経営農業と土壌の持続的利用/国立研究開発法人 森林研究・整備機構/http://www.jiid.or.jp/ardec/ardec61/ard61_key_note5.html/2023.6

 泥炭土、ポドゾル、チェルノーゼム(黒土)、
 粘土集積土壌、永久凍土、若手土壌、砂漠土、
 未熟土、オキシソル、ひび割れ粘土質土壌、
 強風化赤黄色土、黒ぼく土。

 土にはどんな種類がある?と聞かれたときに、
 世界全体でみるとこんな名前で分類されている。

pino

 はい。

marcy

 ただ試験では、日本の土壌がメインなので
 この分類とは違うものになっています。

pino

 なるほど。

marcy

 試験での分類は、約8種類。
 褐色森林土、赤色土、黄色土、黒ボク土、
 褐色低地土、灰色低地土、グライ土、泥炭土。

 これを分布の場所で考えると、
 山地、台地と丘陵地、低地の3つに分かれていて、
 ここにさっきの8種類が所属しているイメージです。

marcy

 これを高い場所から順番にみていきます。

pino

 はーい!


山地

marcy

 まずは山地から。

 ここにあるのは褐色森林土。
 日本の陸地の60%は山地で、
 その傾斜地に多いのがこれ。

 名前は、B層が褐色をしていることから
 褐色森林土と呼ばれるそう。

pino

 前にやったところね。
 A層・B層・C層。

marcy

 そうそう。

 利用としては、
 一般的に扱いにくいとされているけど、
 一部が果樹園として使われている。

 長野県に行ったとき、
 リンゴ畑が山の傾斜地にあったよね。

pino

 あったね、斜面に。

marcy

 そうそう。ああいうのが褐色森林土だね。


台地・丘陵地

marcy

 次は、台地と丘陵地。

 まずは赤色土と黄色土。
 これはセットで考えます。

 分布面積は、合わせて10%未満。
 西日本に多い。

pino

 少ないんだね。

marcy

 土の特徴としては、
 カリウムやカルシウムなどが溶脱して
 酸化しているので、作物栽培としては…

pino

 適してない。

marcy

 そうそう。扱いにくいので、
 これらで作物栽培をしようと思うと、
 まずはpHを改善することが必要になってくる。

pino

 うん、なるほど。

marcy

 特徴をまとめた言い方としては、
 有機物含量が低い・粘土含量が多い・
 緻密で透水性がわるい・
 保水力が低く大雨で湿害が起こる・
 乾燥時に干害を受けやすい、
 などが記載されている。

pino

 なかなかの言いようだね(笑)

marcy

 だから改良が必要、ということだね。
 ただそんなに多くないので、
 あまり目につかないかなと。

 次は「黒ボク土」。
 これは有名だと思うけど、
 何が材料になっているでしょう?

pino

 火山灰。

marcy

 そうそう。日本は火山が多く、
 火山灰が材料になっている黒ボク土が多い。
 また、分布は台地・丘陵地に多くて、
 地域で考えると、
 北海道・東北・関東・九州に多い。
 言い換えると、西日本は少ない。

pino

 火山が少ないってこと?

marcy

 そういうことだね。
 この地域分布も試験に出てたから、
 関連付けておくと覚えやすいね。

 山だけ見たら日本中にあるけれど、
 その中でも火山だったところってことね。

 あと、分布面積でいうと、
 どれくらいの順位か想像できる?

pino

 2番目!

marcy

 正解!

pino

 やったぁ(笑)

marcy

 そう、面積だと第2位で、
 約20%が黒ボク土。

pino

 褐色森林土の次に多いってこと?

marcy

 あ、そうではなく、
 日本のほとんどが山だけど、
 褐色森林土がいちばん多いというわけではない。
 順位でいうと、褐色森林土は4番目(8%)かな。
 この分布面積は、「農耕地の土壌」の中で
 どの種類が多いか、という視点になっているから。

pino

 ふーん。

marcy

 そんな黒ボク土の
 土壌としての特徴といえば??

pino

 くろい。

marcy

 黒いよね、見た目で考えたか(笑)
 作物を育てる目線でいうと?

pino

 リン酸吸収係数が高い。

marcy

 うん。高いということは?

pino

 リン酸が多い。

marcy

 そうだね、土がリン酸を結合する力が強い。
 ということは、作物がリン酸を吸収しにくいので、
 黒ボク土では、リン酸を多めに撒きましょうと
 言われたりする。

pino

 はい。


低地

marcy

 最後は、低地の土です。
 まずは、褐色低地土。

pino

 褐色。

marcy

 名前はそのままだよね。
 低地にある、褐色の土。
 特徴としては、低地の土の中では、
 地下水位が低い。

pino

 土の中に流れている
 水の位置が低いってことね。

marcy

 そう。そういう状況だと、
 土が灰色とか青っぽくならなくて済む。

marcy

 ちょっと整理しようか。

 土は、長い間水に浸っていると、
 化学反応が起こって、灰色とか青色に変化する。

pino

 還元しちゃう。

marcy

 そうだね、酸素が入らなくて、
 還元状態と呼ばれる。これは、
 土が茶色に見えるもとである
 酸化鉄が変化して、灰色になることが要因。

 褐色低地土は、これが起こらない
 水はけがよいところの土なので、褐色。

pino

 ということは、酸化しているの?

marcy

 そう、酸化状態って言われるね。
 なので、褐色低地土という名前から、

 褐色ということがわかって、
 褐色ということは、水に浸かっていない、
 つまり地下水位が低いんだなとわかる。

 これは、河川周辺に分布していて、
 その中でも、排水がよいところにある
 という認識。

pino

 うんうん。川の周りなんだね。

marcy

 この土が、よく畑とか果樹園に使われている。
 住む場所の近くにあって、排水良好だから、
 使いやすいという認識だね。

pino

 なるほど。

marcy

 つぎが、灰色低地土。

pino

 はい。

marcy

 これはさっきと同じ考えで、
 低地にある土の中で、
 色が灰色になっているもの。地下水位は…

pino

 高い。

marcy

 そうだね。地下水位が高いから、
 還元状態になっていて、灰色になっていると。

pino

 はい。

marcy

 排水が不良な扇状地や平野部に存在する。
 分布面積だと、どれくらいだと思う?

pino

 3位!

 ざんねん、1位

pino

 1位かぁ〜

marcy

 そうそう。黒ボク土が19%で、
 灰色低地土が22%なので、
 そんなに変わらないけれど、
 一応、日本の農耕地の中では、
 これがいちばん多い。

pino

 へぇ。

marcy

 これ、排水不良なんだけど、
 じゃぁ何に利用されていると思う?

pino

 田んぼ!

marcy

 正解!そういう特徴があるから、
 水田利用が多い。

pino

 なるほど。

marcy

 逆に畑に利用しようと思うと、
 排水対策が必要になる。
 そのままでは使いづらいってことだね。

 でも、日本は稲作文化だし、
 これを考えると相性はいいし、
 分布面積が多いのも納得できるかな。

 ではつぎ。
 これも低地にある土で、グライ土。
 これは低地にある中で、最も排水が悪くて、

 地下水位が高いと言われている。

 さっき、土が水に浸って
 青灰色になるって話をしたけれど、
 そもそもこれを、「グライ層」と呼んでいて。
 このグライ層が多いから、グライ土。

 面積としては3番目に多く、
 利用としては、やっぱり水田が多い。

pino

 うん。

marcy

 まとめると、低地の土は、
 地下水位の高さによって、
 褐色低地土・灰色低地土・グライ土の
 3段階になっている。

 そして、水はけがいい褐色低地土は畑、
 地下水位が高い灰色とグライ土は、
 水田に使われている。

pino

 ふーん。

marcy

 最後に登場するのが、泥炭土。
 別名ピート。

pino

 うん。

marcy

 これは他の土とちょっと違って。
 湿地の、そこに生息するミズゴケなどの遺体が、
 完全に分解されることなく
 集積・堆積していったもの。

pino

 ミズゴケ。

marcy

 うん。これが材料になっているものを、
 泥炭土と呼ぶ。
 他の土は、母岩の風化がベースにあったけど、
 泥炭土は有機質の物質がメイン材料という点で、
 他の低地土とは違う。

pino

 ふーん。

marcy

 これも割合は少ないけれど、
 北海道とか東北の北日本に90%が分布している。
 寒いから分解が進まないらしい。

pino

 何色してるんだろ?
 分解されずに残ってるんだよね。

marcy

 どうだろ?調べてみようか。

pino

 泥は泥だし、茶色か灰色だね。

marcy

 軟弱で崩れやすいのか。

pino

 何に使うんだろう?

marcy

 ピート単体は、ピートモスとして、
 土壌改良資材として登場するよね。

pino

 「ピートモスは、泥炭土を乾燥させたもの」
 資材としての効果は「保水力アップ」。

marcy

 うんうん。他にも通気性や保肥力の改善。

pino

 なるほどね。

marcy

 なので試験的にピートは、
 土壌改良資材としての登場がメインだね。

 ということで、
 以上の8種類が、土壌の種類と特徴です。

marcy

 注意点としては、
 日本=火山=黒ボク土がいちばん多いではない、
 ということだね。

pino

 うん。灰色低地土がいちばん多い。

marcy

 試験では、今日みた各特徴が出題されています。

pino

 パーセントも出る?

marcy

 数字は出てないけれど、
 何がいちばん多い?は出てたね。

1.灰色低地土(22%)
2.黒ボク土(19%)
3.グライ土(17%)
4.褐色森林土(8%)
5.褐色低地土(8%)
6.黄色土(7%)
 その他

pino

 はい!


おまけトーク


でも結局、灰色低地土の還元状態が変われば、
グライ土でしょ?


うんうん、そうだね。


だから2つを合わせたら40%が、
比較的地下水位が高い土。


そうだね。


だから田んぼか。


そう考えると、
水田にはいい条件だね。


みんな田んぼするよ(笑)
畑の褐色低地土8%しかないし。


あとは黒ボク土を改良して使っているね。
まぁ、でも、
黄色土が大半を占めるとかじゃないから、
大きく捉えると土に恵まれた地域だとは思う。


確かにね。
あと、土の分布って、
その種類の土が飛んでって
降り積もったんじゃなくて、
その環境でたまたまできたってことでしょ?


そうだね、グライ土が飛んで来たとかじゃなく、
その環境が水分多いから、グライ土になった、
という順番だね。
あぁ、だからグライ土を改良して、
灰色低地土の割合が増えた、
みたいなことを聞いたよ。


あぁなるほどね。
だからうまく環境と付き合えば、
作物も育てられるってことだね。
ここグライ土だからムリだ、とかじゃなくて。


そういうことだね。
土をはじめから作ることはできないけど、
改良して作物に合わせるのはできるってことだね。

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