第12話 カリウム2
メンバー
カリウムの不足
marcy
では最後は、いつも通り
不足・過剰・数字を見ておきます。
pino
はいっ。
marcy
まずは欠乏について。
カリウムは、土壌中に
少ないこともあって、不足しやすい。
pino
うん。
marcy
そして、
作物体内では溶液中にいたので、
「作物体内を移動しやすい」
という特徴がある。
だから欠乏症は、下葉から現れる。
pino
古い葉ね。
marcy
そうそう。言い換えると、
新しい葉に移動できるってことだね。
あと、窒素はカリウムの吸収を
抑制する作用がある。
pino
へぇー。
marcy
なので、窒素の施用量が
過剰になってしまうと、
カリウムの吸収が抑制されて
不足が生じることがある。
pino
なるほど。
marcy
これは拮抗作用ではなく、
窒素がカリウムを一方的に
抑制するという関係だね。
pino
従うしかない…(泣)
marcy
また、
「カリウム不足を受けやすい作物」もある。
これまでの内容を踏まえて、
どんなものが受けやすいと思う?
pino
いも。
marcy
そうそうそう。
あとは…?
pino
豆と、果実?
marcy
あぁたしかに。
野菜でいうと?
pino
果菜類か。
トマトとか。
marcy
そうそう。
なので、カリウム不足を
「非常に受けやすい作物」として、
サツマイモ、ダイズ、インゲン、
トマト、ナス、ジャガイモ
などが挙げられる。
糖やでんぷんを
たくさん必要とするものたち。
pino
ちょっとおさらいしていい?
カリウムが不足してでんぷんが作れない、
だからいも類の影響が大きいのはわかる。
豆類は?
marcy
豆類も、糖を蓄えていると考えると、
カリウムがほしいはず。
いも類みたいに「でんぷん」は蓄えなくても、
でんぷんの手前の状態の「糖」は、
エネルギー源として必要だし。
pino
あぁなるほどね。
marcy
一方、葉菜類は、
不足の影響を受けにくい。
記載されているのが、
シュンギク、レタス、ネギとか。
pino
うんうん。
marcy
中間の「影響を少し受ける」には、
キュウリ、ホウレンソウ、ハクサイ、
コマツナ、カブなど。
(カリウム不足の影響)
・非常に受けやすい
サツマイモ、ダイズ、インゲン
トマト、ナス、ジャガイモ
・影響を少し受ける
キュウリ、ホウレンソウ
ハクサイ、 コマツナ、カブ
・影響を受けにくい。
シュンギク、レタス、ネギ
pino
なんか、テキストのこの表を
見ただけのときより、全然わかる。
marcy
あぁ~、ただ暗記するよりも、
理由がわかると納得があるよね。
判断しやすい。
pino
キュウリはちょっと例外だけど。
marcy
なんでだろうね、
水分量が多いからかな。
pino
ん~。
marcy
あ、まって今思ったんだけど、
キュウリって熟した状態で食べないよね。
昔は黄色くなってから食べてたけど、
今は青い状態で採ってる。
ナスとかトマトみたいに
熟れたところまで待たないから、
そんなに糖がなくてもいいんじゃない?
pino
あぁ~。
marcy
もし、黄色くなってから
収穫して食べる野菜だったら、
「不足の影響を受けやすい」に
なってたかもね。
pino
なるほどー!
marcy
この仮説があっているか
わからないけど、とりあえず
この理由にしておこう(笑)
pino
キュウリ、甘くないしね。
トマトとかナスは加熱したら甘くなるけど。
marcy
たしかに。おもしろい、
だからキュウリの糖は少なくて、
カリウムの活躍場面も少ないってことね。
pino
体験談的な予想ね(笑)
カリウムの過剰
marcy
カリウムの過剰症は…
これまでの話を踏まえると
どうなると思う?
pino
とりあえず、
マグネシウムが足りなくなることが
あるでしょ?
marcy
おぉ、正解。
逆に言うと、
カリウム単体の過剰症は?
pino
起こりにくい。
marcy
そうそう。そもそも、
ぜいたく吸収する性質があるから、
基本的には発生しにくい。
pino
じゃあ、ぜいたく吸収して、
過剰症が出ることはない?
marcy
えっと、あるんだけど、
それはカリウムが体内で
増えすぎるからではなく、
カリウムをたくさん吸収することで、
さっき言ったみたいに
マグネシウムが相対的に減ってしまう、
みたいな影響のしかただね。
pino
うんうんうん。
marcy
なので、もとを辿れば
カリウムの過剰が原因なんだけど、
カリウム自体が悪さをしているわけではない、
ってイメージ。
pino
なるほどね。
あんまりワルモノ扱いされないんだ。
でもなにか過剰の影響はあるの?
marcy
実験ではいくつか示されていて、
テキストに登場したのが
ブロッコリーのベト病(花蕾黒変症)。
これは、カリウムの過剰で助長される。
pino
あぁ、なるほどね。
marcy
ただ助長だから、
ゼロイチの原因というよりは、
煽ってしまう感じかな。
そもそもベト病は、糸状菌が原因だし。
pino
いろんな要因が関わるんだね。
marcy
あと、テキストには、
カリウム過剰で「ハクサイの収量が低下する」も
紹介されていた。明確な理由は
載ってなかったけど、3年間調査して、
結果的に収量が低下したそう。
pino
へぇ。
なんでだろう。
marcy
ということで、
基本的にカリウムの過剰症は
発生しにくいけど、まったくない訳じゃないよ
というお話でした。
pino
根本的な原因ではないけど、
カリウムがそれを助長しちゃうってことだね。
カリウムの数字
marcy
では最後に数字。
pino
すうじ( 一一)
marcy
ここは、
ほんの少し載っていただけなので、
だいたいの目安ね。
「交換性カリウム50-60mg/100gが適切」
って作物が多い。ざっくりの数値感覚ね。
pino
ふ~ん。
marcy
窒素が、10mgくらいの感覚。
リンは100mgくらいまでだったので、
カリウムはこの間だね。
pino
…(´・ω・)
marcy
(笑)
pino
もう、数字
ぜんぜん覚えられないんですー。
marcy
こればっかりは、
繰り返すしかないです(笑)
pino
これまでの数字もそうでした?
窒素とリン酸。
marcy
だいたいそうでした(笑)
なので、肥料の三要素の数字は、
0~100mgの幅があったとして、
最初の10mgくらいが窒素、
間の50mgくらいがカリウム、
上の100mgくらいがリン酸ってイメージかな。
pino
なるほどー。
だいたいの感覚ね。
marcy
カリウムについて
テキストで登場していたのは、
サツマイモと水稲。
品質の良いサツマイモを作るためには、
「交換性カリウム37-50mg/100gが適する」と。
今言っていた範囲だよね。
pino
うんうん。
marcy
もうひとつ水稲は、
「交換性カリウム40mg/100g以上では、
収量増加が期待できない」と。
pino
へぇー。
marcy
カリウムが不足している状態だと、
加えれば収量が増加するけど、
40mgを超えるとその効果が期待できない。
だから上限は40mgくらいだよ、
という実験結果だった。
pino
なるほど。
・だいたいの目安
交換性カリウム50-60mg/100gが適切
・品質の良いサツマイモ
37-50mg/100gが適する
・水稲
40mg/100g以上では収量増加は期待できない
marcy
カリウムの数字の登場はこれくらい。
ということで、以上カリウムでした。
pino
おつかれさまでしたー!
おまけトーク
ま
これでひとまず
肥料の三要素が終わったけど、
ちょっとは分かったかな?(笑)
ぴ
忘れてる部分もあるけど…(笑)
今まで事柄で暗記していたところが、
やっとなんかつながった感があるよ。
ま
あぁ。
結果とか結論の部分は聞くことが多いけど…
ぴ
なんでそうなっちゃうのかの
理解が深まりました。
いいキャラしてるというか。
ま
たしかにキャラが立つのはいいね。
ぴ
「細胞壁を強くする」とかもさ、
糖の転流って言われてなるほどー!
食物繊維ってそういえば糖だったー!って(笑)
ま
そうだね、甘くないから関連しにくいけど、
構造としては糖だったよね。
ぴ
うんうんうん。
ま
僕的には、またヒトとの対比なんだけど、
作物はカリウムが不足するから
必死に吸収しようとしてるよね。
ぴ
うんうん。
ま
でもヒトは、そんな作物を食べるから、
カリウムは比較的入ってきやすいわけよね。
だから腎臓の仕組みでみると、
カリウムを「排泄する」って機能が
発達しているよね。
むしろカリウム過剰を避けたいから。
ぴ
うん。
ま
カリウムを必死で集めようとする植物と、
蓄積しないようにするヒトとの違いが
おもしろいなぁって思ったね。
ぴ
それ、
植物がぜいたく吸収してくれてるから、
だよね(笑)
ま
たしかに、たしかに(笑)
もし作物がたくさん吸収してなかったら、
腎臓のシステムも違っていたかも。
ぴ
なるほど(笑)
カリウムいいキャラしてるわ。