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Vol.1「日めくりカレンダー」
Vol.2「まぴずかん」
Vol.3「らくがき鑑定団」
Vol.4「1ページめの栄養学」
Vol.5「ぴのマルシェ」
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Vol.1「日めくりカレンダー」

柿だ。柿だよね?

しかし取って食べる気はなさそう。
いいのか、着地というか着川で。柿的にも。

まぁいいならいいが、食べないのならそんなにいっぱいできなくてもいいじゃないかと、昼食前のショウカキが言った。

今日もお越しいただき、ありがとうございます。柿の木いいなぁ〜。

こんな投稿をした翌日、「柿食べませんか?」と声をかけていただいた。(食べます)
「この辺りは、渋柿の渋を抜いた「合わせ柿」をたくさんもらうので、よかったら送ろうと思います」と。(ぜひ送ってください)
「食べてもらえるなら、今日送ろうと思います」(ショウカキが待っています)

まさに「とおくてちかいご近所さん」だ。感無量。

そんなわけで、たっぷりいただきました。(ごちそうさまです)


「合わせ柿」と「渋抜き」を知る

柿を送っていただいたyasukoさん
柿を送っていただいたyasukoさん

こちらは田舎なので、柿の木がある家が多く、渋柿を「合わせ柿」にして渋を抜いて配る方が多いんです。

【合わせ柿】
(あわせがき・あわしがき/合柿・淡柿)

渋を抜いた柿のこと。

柿には、「甘柿」と「渋柿」がある。

「渋柿」をやわらかく熟す前に食べるには、渋抜き(脱渋)をする必要がある。

柿は「干し柿」にもしますが、すぐに食べられる「合わせ柿」をドライアイスで作られる方が多いです。私が小さい頃は、お風呂の残り湯で作っていました。

【渋抜き】(脱渋)

・炭酸ガス脱渋

ドライアイスなどを使い、炭酸ガス濃度を90%に保ち密閉する。4日間保存。

・アルコール脱渋

10kgの果実に対して40~50mlの、40%アルコールを散布し密閉する。(焼酎でも可)約10日保存。

・温湯脱渋

密閉した柿を、温湯(約40℃)に15時間程度浸漬する。

参考文献 新版 日本食品大事典/杉田浩一.平宏和.田島眞.安井明美/医歯薬出版/2017

【その他の方法】

・干し柿

皮をむいて干しても、渋味が抜ける。

・完熟させる

やわらかくなるまで完熟させることで、渋味がなくなる。

(合わせ柿うまっ…)こんなきっかけから、「柿特集」がはじまります♪

Vol.2「まぴずかん」

甘柿

— 完全甘柿 —

富有/ふゆう(岐阜県)
次郎/じろう(静岡県)
太秋/たいしゅう(農水省試験場)
御所/ごしょ(奈良県)
陽豊/ようほう(農研機構果樹研究所)
花御所/はなごしょ(鳥取県)
松本早生富有/まつもとわせふゆう(京都府)

— 不完全甘柿 —

西村早生/にしむらわせ(滋賀県)
禅寺丸/ぜんじまる(神奈川県)
筆柿/ふでがき(愛知県)
 →別名 珍宝柿/ちんぽうがき

渋柿

— 完全渋柿 —

市田柿/いちだがき(長野県)
愛宕/あたご(愛媛県)
会津身不知/あいづみしらず(福島県)
西条/さいじょう(広島県)
三社/さんしゃ(富山県)
四つ溝/よつみぞ(静岡県)

— 不完全渋柿 —

刀根早生/とねわせ(奈良県)
甲州百目/こうしゅうひゃくめ(山梨県)
太天/たいてん(広島県)
法蓮坊/ほうれんぼう(奈良県)
平核無/ひらたねなし(新潟県.山形県)
 →別名 八珍/はっちん,庄内柿/しょうないかき,おけさ柿

marcy
柿の品種を甘柿と渋柿にわけてみたんだけど、中には渋味が出たり消えたりする品種もあるんだって。

pino
ほぇー!すごいね…

— 必ず甘柿になるものを「完全甘柿」、必ず渋柿になるものを「完全渋柿」、条件によって変化するものを「不完全甘柿」「不完全渋柿」と呼ぶ —

pino
完全甘柿…強そう…(笑)

marcy
しかも「完全甘柿」は品種全体の1割くらいしかないし、そもそも甘柿自体、渋柿の突然変異と考えられているらしい。渋柿の方が先輩だった。

pino
柿はほとんどが渋柿って聞いたことある…!そんな背景があったのね。

marcy
さらに言うと、甘柿の遺伝は「潜性(劣性)遺伝」だから、甘柿の種を育てたとしても、だいたい渋柿ができちゃう(笑)。

pino
…なんと…甘柿…尊い…。

marcy
知ると柿の表情が見えてくるよね。図鑑の柿たち、雰囲気でてるわぁ(笑)。

参考文献
新版 日本食品大事典/杉田浩一.平宏和.田島眞.安井明美/医歯薬出版/2017
食材図典Ⅲ 地産食材篇/小学館/2008
柿づくし 渋柿、干し柿、柿酢、柿ジャム、紅葉保存/濵崎貞弘/農山漁村文化協会/2016
奈良県/奈良新聞掲載記事集「甘柿の種は甘柿か?」https://www.pref.nara.jp/item/210107.htm
農研機構/今が旬の「カキ」のお話「甘ガキの進化」https://www.naro.go.jp/publicity_report/season/006533.html

Vol.3「らくがき鑑定団」

かき

2021年代に描かれた、柿特集に関するイラスト。

柿が持っている渋味成分「タンニン」は、「種子が未熟な状態で動物に食べられないようにするため」「種子の遺伝子を紫外線から守るため」にあると考えられている。そんな防御姿勢を受け継いでか、つまみ食いへのケーカイが描かれています。

わが家に滞在するグリーンアーミーメン(fromトイ・ストーリー)も、まさか「火器」を持って「柿」の護衛をするとは思っていなかったでしょう。

作者も、よい「絵描き」ということで…(あ、犬も「イヌカキ」ポーズだ)

[今回の鑑定結果]
 (5)

柿にあるタンニンをためる細胞は、他の植物ではほとんどみられないよ。個性的で不思議なくだもの!

参考文献
柿づくし 渋柿、干し柿、柿酢、柿ジャム、紅葉保存/濵崎貞弘/農山漁村文化協会/2016

Vol.4「1ページめの栄養学」

Q1.なんてお名前ですか?

食品とその呈味成分に関する記述である
柿の渋味成分は、オイゲノールである。(○or×)

(管理栄養士国家試験35回49番)

↓考えた方をタップ!

ざんねん!
柿の渋味は、柿タンニンという物質です。

正解!
柿の渋味は、柿タンニンという物質です。

1ページめのテキスト

柿は、ほかの果物にはない強い渋味をもっています。
これは柿タンニン(シブオール)という物質によるものです。

「タンニン」とは、ポリフェノールの一種。お茶に含まれるカテキンなんかも「タンニン」の一種なので、柿タンニンと近い存在といえます。

ちなみに渋味は、いわゆる味覚ではなく、痛みなどの触覚に近い感覚とされています。

タンニンの、粘膜のたんぱく質を変性させる収斂作用(しゅうれんさよう/縮めること)によってもたらされます。


問題に登場した「オイゲノール」は、香辛料「クローブ(丁子)」の香り成分の名前です。

オイゲノールは分類的に「フェニルプロパノイド」(フェニルアラニンからできる物質)に所属します。このフェニルプロパノイドは、生合成の経路でみると「タンニン」とつながっています。

また、これらはまとめて「ポリフェノール」の一種でもあります。

つまり、「ポリフェノール」という大グループの中に、「フェニルプロパノイド」「タンニン」という小グループがあり、これらはつながっている。そしてそれぞれに所属する「オイゲノール」「柿タンニン」が、入れ替え問題として出題されたということです。

呈味成分の誤文なら、違う呈味成分で作ればいいのに…なんで香気成分をもってくるんだ?と思いましたが、この関係があるからかな、と考えます。(ただし、これを「つながっている」と言ってしまうと、だいたいの化合物はつながっているじゃないか!とも言えます。笑)

Q2.渋味を抜くってどういうこと?

食品の加工に関する記述である
干し柿の製造では、タンニンの水溶化により渋味を除去する。(○or×)

(管理栄養士国家試験34回61番)

↓考えた方をタップ!

ざんねん!
渋味の除去は、タンニンを不溶化させています。

正解!
渋味の除去は、タンニンを不溶化させています。

1ページめのテキスト

タンニンとは、柿の渋味成分でした。そして渋味とは、タンニンが口の中のたんぱく質と結合して起こる収斂作用でした。

この反応は、口の中(唾液という水分)に、タンニンが溶け出すことで起こります。…そうです、つまり水溶性(可溶性)のタンニンだと渋く感じるということです。

では、渋く感じなくするにはどうすればいいのか?

タンニンは柿の細胞内に蓄えられているので、タンニンだけを抜き取ることはできません。タンニンが存在していたとしても、渋味をなくす方法…

それが、タンニンの不溶化(不溶性タンニン)です。

もともと含まれている水溶性タンニンを不溶性にしてしまえば、口の中で溶けだすことはありません。するとあら不思議、タンニンが入っているのに渋く感じなくなります。

例えば干し柿では、皮をむいて乾燥させることで、この変化を起こしています。

また、以前にご紹介した渋抜き(ドライアイスやアルコールを使う)も、方法は違いますが、目的は同じタンニンの不溶化です。


もし、もしですよ、渋抜きの方法が発見されなかったり、そもそも柿の中でタンニンが不溶化できない仕組みだったら、柿という果物は食べられてなかったのかなぁと思ったり。自然の偶然と恵み、ありがとうー!

今回のまとめ

・柿の渋味成分は、柿タンニン(シブオール)である。
・渋味とは、口の中の収斂作用である。
・干し柿の製造では、タンニンの不溶化により渋味を除去する。

脱渋におけるタンニンの不溶化は、「アセトアルデヒドとの結合」が話の中心になります。

アセトアルデヒドとは、アルコール(エタノール)から水素が外れてできる物質です。(二日酔いの原因物質としても有名。)このアセトアルデヒドとタンニンが結合すると、高分子化することで水に溶けにくくなるとされています。

そんなアセトアルデヒドは、細胞内の代謝経路で考えると、糖(グルコース/ブドウ糖)から作ることもできます。

*酸素がある状態では、「アセチルCoA」になり、酸素がない状態では「アセトアルデヒド」や「乳酸」に代謝される。

つまり、柿を酸素がない状態に置き、アセトアルデヒドを発生させることができれば、タンニンと結合して渋味を消せます。

方法1/お風呂のお湯に漬ける。
お湯に漬けると酸素がない状態となります。また、温かいお湯によって反応が進みやすくなります。
(最も原始的な方法は、土に埋めることで無酸素状態を作ったとされています。)

方法2/炭酸ガスを充満させる。
柿をドライアイス(二酸化炭素)などを入れた袋で密閉することで、炭酸ガスが充満して酸素がない状態を作れます。

方法3/干し柿にする
皮をむくことで表面に被膜ができ、通常の酸素を使った代謝ができなくなります。

方法4/アルコールを吸わせて密閉する。
ヘタからアルコールを吸わせると、柿が持つ酵素によって分解されアセトアルデヒドができます。また密閉することで酸素がない状態を作れます。

(*熟した柿の渋味が消えるのは、ペクチンなど別の物質が関わるとされる)

「渋抜き=タンニンの不溶化」は、いかに「アセトアルデヒドを作るかの工夫」とも言えます。

marcy
「脱渋=タンニンの不溶化」ってのは知ってたけど、その仕組みは知らなかったなぁ。

ー タンニンは、アセトアルデヒドと結合することで不溶化する。アセトアルデヒドは、柿を無酸素状態にすることで作られる。様々な渋抜きの方法は、それぞれ柿の中でアセトアルデヒドを作るための工夫。ー

pino
渋を抜くための方法って、調べるといくつも出てくるし、やり方も全然違うから、覚えるのたいへんって思ってたんだけどね。

marcy
うんうん。方法を一つひとつ思い出すとなると、たいへんだよね。

pino
だけどどの方法も、【柿が息苦しい…って思うことで渋が抜かれる】ってことに気づいたら、覚えやすくなったよ!

marcy
はじめに「窒息させるんだって」って教えてくれたときはびっくりしたけど(笑)、理屈がわかるとおもしろいよね。

参考文献
柿づくし 渋柿、干し柿、柿酢、柿ジャム、紅葉保存/濵崎貞弘/農山漁村文化協会/2016
マギー キッチンサイエンス-食材から食卓まで/共立出版株式会社/Harold McGee・香西みどり・北山薫・北山雅彦/2008
食品学総論(第2版)/森田潤司・成田宏史/化学同人/2012
一般社団法人日本植物生理学会「柿の渋抜きについて」/https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2545
農芸化学に学ぶ「14.フェニルプロパノイドの生合成経路」https://www.jsbba.or.jp/manabu/site/05_14.html

Vol.5「ぴのマルシェ」

【 かきたくなるノート 】

【 かきんちゃく/あま・しぶ 】

marcy
柿をくれたyasukoさんが「感じたことを絵にして表現したいなぁ」って言ってたから、お絵柿グッズを作ってみたよ!

pino
文章でも絵でも、残していくのいいよねー。ノートは、すごくなつかしい雰囲気してる。

marcy
これ、先に名前を思いついたんだけど、「かきたくなる」ってなんだろうなぁ?と。それで振り返ってみると、小学生のときがいちばん書きたいようにノートを使っていたなぁって。それと、大人になると「自由帳」って使わないから、そんなノートがあるとおもしろいなって。

pino
自由帳あったね!なつかしい。絶対ランドセルに入ってたー!
巾着には、描くための文房具を入れてみるのもいいかも!私が小学生の頃は、給食ナフキン(ランチクロスみたいなもの)を入れるのに使ってたなぁ…。

marcy
なんか、えんぴつとかクレヨンとかが雑多に入ってるの、いいよね。筆箱には入らないサイズのものが一緒になっている感じ。もちろん、ふつうに使ってもいいんだけれど。笑

pino
わが家は何が入るかなー?(まさか柿を入れたりしないよね…笑)今年は、柿づくしの秋だったねぇ。

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