【ご案内】
本の帯のように、自分の言葉で、短めに、本を紹介する場所です。だいたい150字以内でお願いします。1行でも大丈夫です。ひとつの本をひとりで何度か紹介していただいても構いません。静かな場所なので、書影の閲覧や本へのリンクはセルフサービスとなっております。気になったものがあれば、ぜひ検索してみてください。

野菜の図鑑であり、レシピ本であり、エッセイでもあるが、そのどれにも当てはまらない著者の視点がある。単なる材料ではなく、個性を持ったひとりとして野菜と向き合い、そして出会っていく態度は、自分にとっての理想だった。(まーしー)

new『八百屋の野菜採集記~「見る・知る・食べる」で楽しむ旬野菜とレシピ』尾辻あやの / 大和書房(2023)


強制収容所を体験した心理学者が語る、人間の本質。収容所の悲惨さではなく、苦難に直面した人間の立ち振る舞いと、そこから見えてくる人間そのものに焦点が当てられる。人生の意味をこんなふうに解釈する本は、他にない。自分の中の、ホモ・パティエンス(苦悩する人)部分が肯定される。(まーしー)

『夜と霧 新版』ヴィクトール・E・フランクル /みすず書房 (2002)


ひとり出版社の「夏葉社」。いい本を丁寧につくり、丁寧に届けるこの会社が、どのように生まれ歩んできたのかを語るエッセイ。だけども、ものづくりの本質や、人としての振る舞い方、弱さの価値のようなものがにじみ出ており、付箋を貼る手が止まらないバイブルだった。(まーしー)

『古くてあたらしい仕事』島田潤一郎 / 新潮文庫(2024)


だれかと何かをつくることは、楽しい。それを届ける場をつくることも、それで何かを動かそうとすることも、その大変さも、虚しさも含めて楽しい。しかもそれは、巻き込んだ方も、巻き込まれた方も。この本を読んでいると、きっとそうなんだろうと思う。江戸時代の版元、蔦屋重三郎の人生を描いた小説。(まーしー)

もし、人の縁が糸のようにつながっていたら、たった一人でも、たくさんの人を、世の中を、動かすのは簡単かもしれない。かるく引っ張ればいい。でも実際にそんな糸はなく、僕たちが「つながり」と呼んでいるものの正体は、弱い磁力のようなものだ。けれど、それを糸のようにつないで、新しいものを創っちゃう人がいる。(まーしー)

『蔦屋』谷津矢車 / 学研プラス(2014)


もし、「学校で習わないこと」という学校の授業があるなら、まちがいなく教科書になる本だと思う。自分の好きなこと、やりたいことを計画的に進めることは、「成功」ではなく「生きること」につながっている。そんなこと、今まで誰も言ってくれなかった。(まーしー)

『生きのびるための事務』坂口恭平 / マガジンハウス(2024)