marcy
 では第2部。
 もう分類はわかったので、
 他の野菜もだーっと見ていきましょう。



pino

 はい!

marcy
 まずは「カブ」
 これは見た目です。

    

pino

 ダイコンと一緒だ。

marcy
 「かぶ」という言葉には、
 アタマ・カシラという意味があります。
 「きりかぶ」とか言うじゃん。
 丸くてふくらんだ部分をそう呼ぶと。

pino

 うんうん。

marcy
 野菜のカブも、
 根っこが頭みたいに丸いので
 「カブ」です(笑)

pino

 なるほどね(笑)

marcy
 春の七草だと
 「スズナ」って言うよね。
 あれも「鈴」に似ているからです(笑)

pino

 わからなくはないけど(笑)

marcy
 もともとは「カブラ」と呼ばれていて、
 ラはカブの助辞って書いてあった
 「カブラ」の方が落ち着くのかな。

pino

 うんうん。

marcy
 それが宮中の女房言葉で
 「オカブ」になり、
 一般に広まるときに
 「カブ」になったそう。

pino
 なんか呼び捨てになった感じだね。

marcy
 たしかに(笑)

marcy
 次はタケノコ。
 これは?

   

pino
 竹の子ども…?

marcy
 正解(笑)
 見た目です。
 タケノコ(筍)って、
 竹かんむりに旬って書くじゃん?

pino
 うんうん。

marcy
 これ、もともと「旬」は
 「10日間」を表す言葉で。

pino
 へぇ~。

marcy
 タケノコは、その10日間で
 ぐっと成長してタケノコになって、
 10日を過ぎると竹になっちゃう。
 だからこの旬の期間を指して
 「筍」になっているそう。

pino
 へぇ~なるほど!

marcy
 中国からやってきました。

marcy
 タマネギ。

    

pino
 玉の、ネギ。

marcy
 正解(笑)
 見た目です。

pino
 やったぁ。

marcy
 この場合の「タマ」は、
 丸くて価値が高いという意味の
 タマだそうです。

pino
 カチノタカイ、ネギ。

marcy
 (笑)
 タが「妙なる・高まる」で、
 マが「丸い」こと。

pino
 ふ~ん。
 葱頭とも言うのか。

marcy
 そうそう、昔はそう呼んでた。
 学名は「Allium cepa L.」で、
 このcepaも「頭」という意味があるそう。

pino
 あたまっぽかったんやな。

marcy
 だから、「ちびまる子ちゃん」の
 ながさわくんは、正解です。
 あってる(笑)

pino
 せいかい(笑)

marcy
 次、とうもろこし。

    

 これも、もとは
 トウモロコシキビと呼んでた。
 唐からやって来たモロコシキビ。
 見た目+場所の名前かな。

pino
 モロコシってなに?

marcy
 そういう植物だね。
 調べてみようか。

pino
 あぁたしかに、似ているね。

marcy
 もともとモロコシを認知していて、
 それに似ているという名づけだね。

pino
 なるほどね~。

marcy
 続いて、ニラ。

    

pino
 にら。

marcy
 これも見た目です。
 もともとは「カミラ」とか
 「コミラ」と呼ばれていました。

pino
 へぇ~。

marcy
 その「ミラ」が転じて「ニラ」になった。
 ミラ(美良)には「美しくて良い」という
 ニュアンスが含まれている。

pino
 うんうん。

marcy
 ニラには香りがあるので、
 香りのミラで「コミラ」。
 見た目が美しくて
 いい香りがすることが由来だね。

pino
 へぇ。

marcy
 ただ、別の説もあって。
 嫌われていたから、
 においの「に」と、嫌うの「ら」で
 「にら」とも載っていました。

pino
 かわいそう…(笑)
 でも確かに、
 生えてるときはキレイやもんね。

marcy
 きれいやね。
 日本には、奈良時代以前に
 入ってきたそうです。

marcy
 続いて、ラッキョウ。

    

pino
 らっきょう。

marcy
 これは、見た目と
 味香りが混ざっている名前です。

pino
 うん。

marcy
 もともとは、
 ラッキュウ(辣韭)

pino
 らっきゅう。

marcy
 ラッキュウが訛って
 ラッキョウになりました。

pino
 もうラッキュウが
 訛ってると思うんやけど。

marcy
 おいおい(笑)
 ラッキュウの漢字「辣韭」の
 「辣」が辛いという意味、
 「韭」がさっき登場したニラ。
 よって、辛いニラですね。

pino
 へぇ~(笑)

marcy
 9世紀までに日本に入ってきて、
 はじめは薬用だったそうです。

marcy
 続いて、ナガイモ。

    

pino
 長い、いも。

marcy
 正解(笑)

pino
 やったぁ。

marcy
 見た目が長いからです。

pino
 安易だ(笑)

marcy
 ちなみに、日本にもともとあったものは、
 ヤマイモとかジネンジョって呼ぶのよね。

pino
 うんうん。

marcy
 なのでナガイモは、
 中国から入ってきたものとして
 区別されている。

pino
 なるほどね。

marcy
 だから、もともと日本にある
 イモを知ってる状態で、
 入ってきたイモの特徴を捉えて
 呼んだ感じ。

pino
 うんうん。

marcy
 順番としては、
 ナガイモが後だね。

marcy
 次は、ネギ。

    

pino
 ねぎ。

marcy
 もとの名前は「キ」です(笑)

pino
 き!

marcy
 そこから、
 根を食べるものだから
 「ネギ」になったよう。

pino
 でも、食べるのは根じゃないよね。

marcy
 あぁ~それはきっと
 葉ネギと根深ネギの違いだと思う。

pino
 あぁ~。

marcy
 ネギと呼んだ地域では、
 根深ネギだったんじゃないかな。

pino
 なるほど。
 根深ネギのあの部分も、根なの?
 下から根が生えてくるじゃん?

marcy
 あぁ、そういう
 植物学的な分類で見ると、
 根ではなく葉の一部だね(笑)

pino
 まぁ土に埋まってるし、
 根だと思うか。
 ややこしいね(笑)

marcy
 たしかに。
 名前的には、
 根を食べていると思ったので、ネギ。
 
 ちなみに「キ」がもとの名前で、
 その漢字「葱(そう)」は
 「草木の青々と茂っている様」
 という意味らしい。
 地上部は濃い緑だしね。

pino
 へぇ~。

marcy
 だから、そういう見た目と、
 根っこを食べることから「ネギ」。
 広い意味で、見た目の名前かなと。

pino
 なるほど~。

marcy
 ミズナ!

    

pino
 水が、動いてるみたいに
 なっているから。

marcy
 ではないねぇ(笑)
 水で…

pino
 洗う…

marcy
 育てる。

pino
 いや、野菜全部じゃん(笑)

marcy
 いちおう、
 肥料無しの水だけで育てたからとか、
 水田で育てたから、という意味です(笑)
 見た目というか、様子を反映した名前。

pino
 ふ~ん。

marcy
 ちなみにミズナは、
 京都原産です。

pino
 あぁそうなんだ。

marcy
 ミズナのもとになるツケナ類は、
 昔のどこかのタイミングで
 入ってきたみたいなんだけど、
 今食べているあのミズナが
 できたのは京都だそうです。
 だから京菜って呼んだりもするよね。

pino
 へぇ~。

marcy
 あと、
 壬生菜(みぶな)ってあるよね。

pino
 うんうん。

marcy
 壬生菜は、
 水菜が変化してできたもの。
 葉が丸くなりました。

pino
 そうなんだ。
 壬生菜はこの辺りしかない気がするよね。

marcy
 たしかに、マニアックな野菜。

marcy
 次はトマト。

    

 これはある意味、
 日本語がないもんね。

pino
 ないね。
 トマート(英語)
 トマーテ(スペイン)
 ん?…赤茄子?

marcy
 はい、昔は赤茄子と
 呼んでいました。
 すごいね、
 ナスは汎用性がある名前だね(笑)

pino
 ナツミだったのに(笑)

marcy
 トマトは17世紀後半に伝来したので
 比較的最近だし、
 やっぱりすぐには食べられなかったよね。

pino
 観賞用だね。

marcy
 赤すぎて。

pino
 みんなびっくりして(笑)
 いきなりすごい赤だもんね。

marcy
 そうやね、
 ニンジンみたいな赤はあっても…

pino
 ビビるよ~(笑)

marcy
 ということでトマトは、
 そのまま音が由来でした。

marcy
 続いて、トウガン。

    

pino
 とうがん。

marcy
 トウガンは、中国語の読み
 「トウグワ」が訛ったものです。

pino
 トゥグワァ。

marcy
 はい(笑)
 なので、音グループかな。

pino
 音ね。

marcy
 昔は、「カモウリ」とも呼んだ。

pino
 カモの字は、トリの鴨?

marcy
 えっと、「冬瓜」と書いて
 読みが「カモウリ」。
 平安時代はこれらしい。

pino
 へぇ~。

marcy
 トウガンって、
 実がなってるときは
 細かい毛がばーっと生えてるよね。

pino
 うんうん。

marcy
 あれを、
 獣の毛で編んだ敷物である
 「氈(かも)」に見立てて呼んだそう。

pino
 へぇ~。

marcy
 だから、カモウリって呼ぶときは
 見た目の名前だよね。

pino
 うんうん。

marcy
 もうひとつ、
 漢字に「冬瓜」を当てたのは、
 実ったトウガンが冬にかけて熟すのが
 良いものとされたからとか、
 熟すと細かい毛が落ちて
 キュウリのブルームみたいに
 白い粉がついてくるのを、
 雪や霜に見立てたからとか。

pino
 うんうんうん。

marcy
 あとは単純に、夏にできるけど
 冬まで保存できるからとか。
 そんな説もあった。

pino
 なるほどね。
 じゃあ冬に食べた方がおいしいのかな。

marcy
 可能性はあるよね。
 今の感覚だと、夏に食べちゃうけど。
 時代によって、どの状態を良しとするのかも
 違うってことだ。

marcy
 次は、ホウレンソウ。
 ホウレンソウは、
 音と国名が混ざっている名前。

    

pino
 へぇ。

marcy
 原産はペルシャ、現在のイラン。
 ここから中国に伝わりました。
 で、ペルシャを「菠薐」と書いて、
 それがポーロン、ホウレンと
 訛っていったそう。

pino
 なるほど。

marcy
 これが日本に入ってきて、
 そのまま「ホウレン草」となる。
 だから、日本からしたら音の名前だけど、
 音の元になる理由を見ると、国の名前だね。

pino
 うんうん、なるほどね~。

marcy
 やってきました、
 味香りグループのニンニク。

    

pino
 にんにく。

marcy
 古名ではオオビル(大蒜)と
 呼んでいました。

pino
 ふ~ん。

marcy
 で、説はいろいろありますが、
 「ニ」は匂い、「ニク」は憎む。
 このニニクが訛ったと載っていました。

pino
 なんでー(笑)

marcy
 匂いが強すぎたんじゃないかな(笑)

pino
 憎まないで…(笑)

marcy
 あとは、
 仏教で食べるのを禁止されてたじゃん?

pino
 うん。

marcy
 なのでその我慢する部分と、
 隠れて忍び食べたことを含めて
 「忍辱(にんにく.にんじゅく)」って
 呼んだ説もあった。

pino
 なるほど(笑)

marcy
 今回の本では、
 古墳時代にはあったとされていました。

marcy
 では、ラストスパート。
 サツマイモ!

    

pino
 さつまいも。
 薩摩のいも。

marcy
 正解!
 薩摩とは?

pino
 鹿児島。

marcy
 そうです。
 薩摩から伝来したからだね。
 一方で、薩摩からすると
 琉球から入ってきたから
 「琉球イモ」と呼ばれる。

pino
 あぁ~。

marcy
 で、琉球からすると、
 中国から入ってきたから
 「唐イモ」と呼ぶ(笑)

pino
 いや、そうなるよね(笑)

marcy
 場所で名前をつけるとこうなるのよ(笑)
 1605年くらいに中国からやってきて、
 沖縄、鹿児島、本州という流れ。

pino
 もともとの原産は中国なの?

marcy
 原産は…メキシコ南部・ペルーかな。

pino
 また中国では違う名前が
 あるってことだね。
 …「甘薯」って出てくる。

marcy
 ということは、
 中国では味で名前をつけたってことか。

pino
 途絶えたな(笑)
 辿って原産地までいけば面白かったのに。

marcy
 たしかに(笑)

pino
 さといも。
 里でできたいも!

    

marcy
 正解!

pino
 山でできたら、やまいも?

    

marcy
 正解(笑)
 サトイモは、
 里や村で作るイモだからサトイモ。

pino
 うんうん。

marcy
 これはヤマイモに対しての名づけ。

pino
 うん。

marcy
 ヤマイモも同じように、
 サトイモに対しての名づけ。
 ここでのヤマイモは、
 ジネンジョ(自然薯)とかのことね。
 もともとイモは、
 作る場所で名前が付けられたんだって。
 ハタケイモ・タイモ・イエイモとか。

pino
 へぇ~。

marcy
 こんなふうに、日本に古くからあるイモは
 作っている場所で名前をつけていて。
 一方、ナガイモとかサツマイモとか
 外国からやってきたものは、
 見た目や場所でついていたりする。
 イモの名前の由来は、
 いろいろ混ざっているね。

pino
 たしかに~。