第2話 じゃがいも毒の化学

メンバー


1.ソラニンってどんな物質?
marcy
ここからは、
少しお勉強ちっくになります。
じゃがいもの毒の成分の名前は、
「ソラニン」や「チャコニン」
と呼ばれる物質です。
化学物質の分類では、
「グリコアルカロイド」の一種で
グリコは「糖」
アルカロイドは「アルカリのような物質」
を意味してます。
ですので、「ソラニン」や
「チャコニン」を分類名で呼ぶと、
「グリコアルカロイド」になります。
じゃがいもの毒を調べたとき、
「ソラニン」や「チャコニン」と
書いてあるものもあれば、
「グリコアルカロイド」と
書いてあるものもありますけど、
それは「個人名」で呼んでいるのか
「グループ名」で呼んでいるのかの違い、
みたいなイメージです。
【グリコアルカロイド】
・ソラニン
・チャコニン
tomo
なるほど。
pino
「marcy」「pino」か、
「まぴ」かってこと?
marcy
そうそうそう(笑)
そして、アルカロイドの意味は
「窒素を含むアルカリ性の物質」
なんですけど、
これが毒として作用するのはなぜかというと
ヒト体内での生理活性が強い、
つまり、反応しやすいからで。
pino
へぇ。
marcy
さらに、なぜ反応しやすいかというと、
僕らが普段体内で使っている酵素とか
核酸とかが窒素化合物の仲間だし、
神経伝達物質として使われる
アセチルコリンや
ノルアドレナリンという物質も
アルカロイドなので、これと似ていると。
だから、ソラニンなどが
入ってきたときも反応しやすくて、
中毒症状が起こってしまう。
このアルカロイドという成分は
植物がよく作る物質であり、
1万2000種類以上あると言われています。
tomo
そんなにあるんですね。
marcy
これは医薬品の材料にも
なっているようです。
ケシのアヘンは、鎮痛鎮咳
キナの樹皮のキニーネは、抗マラリア薬
コカの葉のコカインは、
局所麻酔として使われて、
これらも、すごく大きく見れば、
同じグループです。
そして、これらを
なぜ植物が作っているのかというと、
虫や動物に自分自身が
食べられないようにするため、
と考えられています。
tomo
あぁ、そんな感じしますよね。
哺乳類の体内で作用するのを
狙っているみたいです(笑)
marcy
そうですね(笑)
なので、
じゃがいもがソラニンという
アルカロイドをもっているのも、
このような意味があります。
*参考文献を基にしておりますが、厳密な考証は行っておりません。あくまで「趣味のおしゃべり」として、楽しんでいただけると幸いです。
参考文献
ジャガイモのきた道/山本紀夫/岩波新書/2008
ジャガイモの世界史/伊藤章冶/中公新書/2008
ジャガイモの歴史/アンドルー・F・スミス/原書房/2014
へんな毒 すごい毒/田中真知/ちくま文庫/2016
世界史を大きく動かした植物/稲垣栄洋/PHP/2018
海が運んだジャガイモの歴史/田口一夫/梓書房/2016
食中毒統計資料令和4~元年/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html
食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報/農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/
有毒植物による食中毒に注意しましょう/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yuudoku/index.html